きものを着よう!~長谷川桜子
現代における和服
現代において和服は、特別な機会でないと着用しない印象があるようです。とくに紋付きの着物や羽織袴などに堅苦しいイメージを持たれる人も少なくないでしょう。
着物は日本の気候で快適に過ごすための衣服
温暖湿潤気候の日本は、四季がはっきりしており、湿気が多く蒸し暑い夏と乾燥して寒さが厳しい冬がくり返されます。そのなかでいかに快適に暮らせるかを考え、改善を重ねてきた衣服が着物なのです。
通気性のよい平織り
たとえば、着物でよく使われる平織りは、通気性がよいのが特徴ですが、そのぶん保温性が低いため、重ね着することで弱点を克服しています。この平織りは、生地の特性を考えると、直線的な裁断および縫製に適しているといわれます。
直線裁ちの和服は平織りの特性に由来するものでしょう。
「折り目正しい」の意味
さて、日本語には「折り目正しい」ということばがあります。人に対してこのことばを用いるとき、「この人は礼儀正しい人である」と評価していることになります。
着物をすっきりと美しく折りたたむ
折り目とは、着物を折りたたんだ筋目のことです。すっきりと美しく折りたたむことは、単にたたみ方だけの問題ではなく、そこに人は人間性を感じ、その人の技量や心根を推察することから「折り目正しい」ということばが生まれたのでしょう。
「しつけ」の由来は着物のしつけ糸
私たちは、人間性や社会行動をふくめた教育とその成果を「しつけ」とよびます。しつけは、まさしく着物のしつけ糸のことで、縫い目を保ち、仕立てが狂わないようにする重要な糸です。
「躾」という字
日本の人びとは、望ましい形を保つことを人格と作法になぞらえて「躾」という字をあてました。読んで字のごとく、身体が美しくあるということですが、これはしつけがしっかりと身についている人は、美しいということにほかなりません。
自国の文化を尊重し、伝統を大切にする
民族衣装である着物をきちんと着用できる、美しくふるまえる、そして折り目正しくたためることは礼法を学ぶ上で欠かすことができない要素です。自国の文化を尊重し、伝統を大切にしてこそ、他国の文化に対しても、より深い理解を示すことができるのではないでしょうか。
日本文化を学ぶことは、国際的な教養の第一歩?
着物をはじめとする日本文化を学ぶことは、国際的な教養を身につける第一歩なのですね。